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KURT ELLING & CHARLIE HUNTER "SuperBlue"

artist CHARLIE HUNTER , KURT ELLING

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

進行形ジャズの最高峰レーベルのひとつである"Edition Records"から、目の覚めるような傑作を次々と送り出しているプロジェクトが、今、ブルーノート東京でライヴ・ステージを繰り広げています。プロジェクト名は"スーパーブルー"、ヴォーカリストのカート・エリングとギタリストのチャーリー・ハンターが組んだ一種のドリーム・ユニットです。

エリングもハンターも1990年代からシーンの第一線に立ち続けるベテランであり、ふたりの共演は2000年に発表されたハンターのリーダー・アルバム『Songs From The Analog Playground』にも収められていました(この作品にはまた、ソロ・デビュー前のノラ・ジョーンズも参加しています)。当時のエリングはクールな技巧派、ハンターは不思議な配置のフレットを持つ8弦ギターを用いてオルガン的な音も表現する超個性派、というところでしょうか。

それから約四半世紀を経て、目の前で繰り広げられる熱演の数々は、ふたりの進化と発展と新境地をこれでもかと示したものでした。エリングは音楽にのめりこむ喜びを発散しながら、軽快にステップを踏んで、時にソウルフルに、時にディープに歌い込み、さらに切れの良いタンバリン演奏も聴かせてくれました。身振り手振りもごく自然にあらわれて、会場にいるオーディエンス360度に目をあわせるようにして歌います。マイクの巧みな用い方(「口とマイクの距離」を、あんなにヴァリエーション豊かにとるシンガーを、私はほかに知りません)、多彩すぎるほどのシラブルを使ったスキャットにも引き込まれるばかりです。ハンターは先に触れたように8弦ギターのパイオニアであり、7弦ギターにも才能を発揮してきましたが、今回はエリングがMCで"シックス・ストリング・ギター"と紹介した通り、6弦によるプレイです。といってもそこはハンターだけに、通常の6弦ギター・プレイではありません。1~3弦でギター・パート、4~6弦でベース・パートをこなします。野太いベース・ラインを奏でつつ、実にファンキーなギター・カッティングを行うテクニックは、まさに神業です。全体的にグルーヴ感あふれるパワフルな楽曲が並ぶ中、カーラ・ブレイの抒情的なメロディ「Lawns」にエリングが歌詞をつけた「Endless Lawns」が至高のチェンジ・オブ・ペースとなっていました。

このベテランふたりを大いに煽り、刺激を与えていたのは2名の気鋭ミュージシャンです。ドラムスのコーリー・フォンヴィルは現代屈指のファンク・ユニット"ブッチャー・ブラウン"や、チーフ・アジュアーのバンドでも知られる凄腕。一見シンプルなドラム・セットから放たれる硬質な音色は絶品、アディショナル・スネアの効果も抜群です。複数の鍵盤を操るケニー・バンクス・ジュニアは、リズ・ライト等のアルバムに参加している鍵盤走者ケニー・バンクスの息子。フェンダー・ローズ奏者とオルガン奏者が同時に演奏しているかのようなプレイは圧巻でした。ステージではこのふたりのプレイもたっぷりフィーチャーされ、後半では各奏者とエリングとの猛烈な掛け合い(バトル)も聴くことができました。コーリー、ケニーを目当てでお越しになっても、期待が裏切られることは100%ないと思います。そして、初日に駆け付けたファンも、知り合いを誘ってリピートしたくなること必至の、みんなで興奮をわかちあいたくなる類のステージといえましょう。音の勇者4人による公演は本日が最終日となります。
(原田 2024 8.5)

Photo by Yuka Yamaji

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【LIVE INFORMATION】

KURT ELLING & CHARLIE HUNTER
"SuperBlue"
2024 8.4 sun., 8.5 mon., 8.6 tue. ブルーノート東京
詳細はこちら

SET LIST

2024 8.4 SUN.
1st
1. Sassy
2. Dharma Bums
3. Sticking to My Guns
4. SuperBlue
5. Manic Panic Epiphanic
6. Endless Lawns
7. The Seed
 
2nd
1. Sassy
2. Dharma Bums
3. Sticking to My Guns
4. SuperBlue
5. Manic Panic Epiphanic
6. Endless Lawns
7. The Seed
EC. Lonely Avenue

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